個人事業主の開業準備チェックリスト|開業届・青色申告・名刺まで

会社員から独立したり、副業を本格的に始めたりするとき、まず選ばれることが多いのが「個人事業主」として開業する方法です。会社設立に比べて手続きはシンプルですが、税務署への届出や青色申告の申請には期限があり、知らないまま進めると損をしてしまうことも。

この記事では、個人事業主の開業準備をチェックリスト形式でまとめました。開業届の書き方、青色申告の申請、銀行口座、インボイス、そして仕事に欠かせない名刺の準備まで、順番に確認していきましょう。

この記事のポイント
・開業届と青色申告承認申請書はセットで早めに提出
・青色申告の申請は原則「開業日から2か月以内」
・青色申告特別控除は令和9年分から要件が変わる予定(e-Taxが有利に)
・屋号・連絡先が決まったら名刺を準備

※2026年10月時点の情報です。税制は改正されることがあるため、最新の内容は国税庁の案内や税務署、税理士にご確認ください。

開業準備チェックリスト

やることタイミング
□事業内容・屋号を決める開業前
□開業資金・当面の生活費を確認する開業前
□事業用の銀行口座・クレジットカードを用意する開業前〜開業直後
□開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出開業後すみやかに
□青色申告承認申請書を提出原則、開業日から2か月以内
□インボイス(適格請求書発行事業者)の登録を検討取引先の状況に応じて
□都道府県・市区町村への事業開始の届出自治体ごとの期限まで
□国民健康保険・国民年金への切り替え(会社を退職した場合)退職日の翌日から14日以内
□会計ソフト・帳簿付けの準備開業と同時に
□名刺・ゴム印・Webサイトなどを準備屋号・連絡先が決まったら

開業までの流れ(図解)

開業の1〜2か月前
屋号・事業内容を決め、名刺や印鑑、Webサイトの準備を始める
開業日
事業をスタート。この日を開業届に記載
開業後すみやかに
開業届・青色申告承認申請書を税務署へ提出
開業日から2か月以内
青色申告承認申請書の提出期限(原則)
翌年2月16日〜3月15日
初めての確定申告

開業届の書き方

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。国税庁のWebサイトからダウンロードするか、e-Taxや会計ソフトの開業届作成サービスを使えばオンラインで提出できます。

主な記入項目

項目書き方のポイント
提出先・提出日納税地(通常は自宅住所)を管轄する税務署
納税地住所地・居所地・事業所等から選択。自宅で開業するなら住所地
氏名・生年月日・個人番号マイナンバーを記入(本人確認書類が必要)
職業「Webデザイナー」「飲食業」など具体的に
屋号任意。決めていれば記入(名刺や口座名義にも使える)
届出の区分「開業」に〇。事務所を新設した場合なども選択
開業日実際に事業を始めた日
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無青色申告承認申請書を同時に出すなら「有」
事業の概要「Webサイトの制作・運用代行」など、できるだけ具体的に
給与等の支払の状況従業員や家族に給与を払う場合に記入

記入例

個人事業の開業・廃業等届出書(記入例・抜粋)

納税地    住所地 〒000-0000 大阪府〇〇市〇〇町一丁目2番3号
氏名     山田 花子
職業     グラフィックデザイナー
屋号     山田デザイン事務所
届出の区分  開業(新規に開業)
所得の種類  事業(農業)所得
開業日    令和〇年〇月〇日
青色申告承認申請書 有
事業の概要  ロゴ・名刺・チラシ等の印刷物のデザイン制作

提出期限

国税庁の案内(2026年4月時点)では、開業届は事業を始めた年の確定申告期限までに提出することとされています。ただし、次の青色申告の申請には「開業日から2か月以内」という期限があるため、開業届もあわせて開業後すみやかに提出するのがおすすめです。

青色申告承認申請書を忘れずに

青色申告にすると、最大65万円の青色申告特別控除や、赤字の繰越し(3年間)などのメリットがあります。青色申告を始めるには「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。

開業した時期提出期限
1月1日〜1月15日その年の3月15日まで
1月16日以降開業日から2か月以内

青色申告特別控除の額(令和9年分から変更予定)

令和8年度税制改正大綱では、令和9年分以後の青色申告特別控除の額を、帳簿の種類や申告方法によって見直す方針が示されています。

帳簿・申告方法令和8年分まで令和9年分以後(予定)
複式簿記+e-Taxで申告+優良な電子帳簿等65万円75万円
複式簿記+e-Taxで申告65万円65万円
複式簿記+紙で申告55万円10万円
簡易簿記10万円10万円(前々年の所得が1,000万円超の場合は対象外)
これから開業するなら「会計ソフト+e-Tax」がおすすめ
改正後は紙で申告すると控除額が大きく下がる見込みです。開業時から会計ソフトで複式簿記の帳簿を付け、e-Taxで申告する習慣をつけておくと安心です。最終的な内容は法律の成立後に国税庁の案内でご確認ください。

そのほかの届出・手続き

  • 都道府県・市区町村への届出…個人事業税などのため、事業開始の届出が必要です(様式や期限は自治体ごとに異なります)
  • 国民健康保険・国民年金…会社を退職して開業する場合は、退職日の翌日から14日以内に市区町村で切り替え(健康保険の任意継続を選ぶ方法もあります)
  • インボイス登録…取引先が課税事業者の場合、適格請求書の発行を求められることがあります。登録すると消費税の申告が必要になるため、取引先の状況を見て判断しましょう
  • 従業員を雇う場合…給与支払事務所等の開設届出書(開設から1か月以内)、労働保険・雇用保険の手続き
  • 許認可が必要な業種…飲食店(保健所の営業許可)、古物商(警察署の許可)など、業種によっては開業前に許可が必要です

名刺・印鑑など「仕事の道具」をそろえる

個人事業主の名刺に入れたい項目

項目ポイント
屋号屋号があれば大きめに。ない場合は職種を目立たせる
肩書き「代表」「オーナー」、または職種(デザイナー・カメラマンなど)
氏名読みにくい名前はふりがな・ローマ字を添える
連絡先事業用の電話番号・メールアドレス
所在地自宅開業でプライバシーが気になる場合は市区町村までにする方法も
Web・SNSポートフォリオやSNSへのQRコードを入れると営業ツールに
インボイス登録番号登録した場合、名刺に入れておくと取引先に伝わりやすい

名刺の書き方は名刺の書き方、肩書きの付け方は名刺の肩書きの書き方、QRコードの入れ方は名刺にQRコードを入れる方法で詳しく紹介しています。

開業時の名刺は少なめ×早めに
開業直後は、住所や電話番号、ロゴなどが変わることもよくあります。最初は100枚程度から作り、内容が固まったら追加で注文するのがおすすめです。プリスタ®ならテンプレート名刺100枚500円(税別)、デザインデータをお持ちなら100枚190円(税別)から作れます。

テンプレート名刺を見る

屋号の印鑑・ゴム印もあると便利

個人事業主は会社の実印のような届出は不要ですが、請求書や領収書に押す屋号の角印や、封筒・書類に押す住所印(ゴム印)があると事務作業がスムーズです。急ぎで作りたいときは、個人印鑑最短30分・法人印鑑やゴム印は最短60分で仕上げる特急印鑑の専門店ハンコエキスプレス(hanko119.com)が便利です。

ハンコエキスプレスで印鑑・ゴム印を見る

将来、法人化(法人成り)を考えるなら

事業が軌道に乗って利益が増えてくると、株式会社や合同会社を設立する「法人成り」を検討する方も多くいます。会社設立の費用や手続き、書類の書き方は株式会社・合同会社の設立方法を図解で解説でまとめています。

よくある質問

Q. 開業届を出さないとどうなりますか?

開業届を出さなくても罰則はありませんが、提出は法律で定められた手続きです。また、屋号での銀行口座開設や融資・補助金の申込みなどで開業届の控えを求められることがあります。青色申告承認申請書とあわせて早めに提出しておくのが安心です。

Q. 開業届はいつまでに出せばいいですか?

国税庁の案内では、事業を始めた年の確定申告期限までとされています。ただし、青色申告をしたい場合は承認申請書を原則として開業日から2か月以内に出す必要があるため、開業届もあわせて早めに提出しましょう。

Q. 屋号は必ず決めないといけませんか?

屋号は任意で、空欄でも開業届は提出できます。ただし、屋号があると名刺や請求書で事業内容が伝わりやすく、屋号付きの銀行口座も作りやすくなります。

Q. 副業でも開業届は出せますか?

会社員の副業でも、事業として継続的に行うなら開業届を提出できます。勤務先の就業規則で副業が認められているかは事前に確認しましょう。

Q. 個人事業主の名刺の肩書きは何がいいですか?

「代表」「オーナー」が一般的です。屋号がない場合は「デザイナー」「税理士」など職種を肩書きにすると、何をしている人か伝わりやすくなります。

まとめ

個人事業主の開業は、開業届と青色申告承認申請書をセットで早めに出すことが第一歩です。あわせて口座や会計ソフトを準備し、名刺などの道具をそろえれば、すぐに営業を始められます。チェックリストを活用して、抜け漏れのないスタートを切りましょう。