名刺交換は、ビジネスで初めて会う相手とのあいさつそのものです。「どちらが先に出す?」「どの高さで渡す?」「受け取った名刺はどこに置く?」――手順はシンプルでも、いざその場になると迷いやすいポイントがたくさんあります。
この記事では、名刺交換のマナーをイラストで1つずつ図解しながら、準備から交換後のフォローまで詳しく解説します。新社会人の方はもちろん、「なんとなく自己流で交換していた」という方も、ぜひ一度チェックしてみてください。
この記事でわかること
1. 名刺交換の前に準備すること
名刺交換のマナーは、実は相手に会う前から始まっています。いざというときに慌てないよう、次の4つを確認しておきましょう。
- 名刺は必ず名刺入れに入れる:財布や手帳、ポケットから直接出すのは失礼にあたります。名刺入れは革製などの落ち着いたものを選び、汚れや傷みがないか確認しておきましょう。
- すぐに取り出せる場所に入れておく:スーツの内ポケットやカバンの取り出しやすい場所に。相手を待たせてカバンの中を探すのは避けたいところです。
- 枚数に余裕をもたせる:会う予定の人数より多めに入れておきます。思いがけず大人数と会うこともあるので、カバンにも予備の名刺を入れておくと安心です。
- 名刺そのものの状態を確認する:折れ・汚れ・角のつぶれがある名刺は渡さないようにします。役職や連絡先が古くなっていないかも確認しましょう。
ポイント
名刺入れには「自分の名刺」と「いただいた名刺」を分けて入れられるものが便利です。いただいた名刺と自分の名刺が混ざると、交換の場で間違えて相手の名刺を渡してしまう失敗につながります。
2. 名刺を渡す順番
名刺は「目下の人から先に」渡すのが基本です。どちらが目下にあたるかは、次のように考えます。
| 場面 | 先に渡す人 |
|---|---|
| 取引先を訪問したとき | 訪問した側(自分) |
| 役職に差があるとき | 役職が下の人 |
| 営業や提案をする場面 | 売る側・お願いする側 |
| 上司と一緒に訪問したとき | 上司が先に交換し、そのあとに自分 |
相手のほうが先に名刺を差し出してきた場合は、無理に先に渡そうとせず、まずは受け取りましょう。そのうえで「申し遅れました」とひと言添えて、自分の名刺を渡せば問題ありません。
3. 名刺の渡し方と名乗り方

名刺を渡すときの流れは、次のとおりです。
- 立ち上がって相手の正面に立つ:座っていた場合も必ず立ちます。テーブル越しではなく、テーブルの横に回り込んで向かい合うのが丁寧です。
- 名刺入れから名刺を取り出す:名刺入れの上に名刺をのせた状態で持つと、そのまま相手の名刺を受けやすくなります。
- 相手が読める向きにして、両手で持つ:名刺の文字が相手から正しく読める向きにし、指で会社名や名前を隠さないよう余白を持ちます。
- 会社名と名前を名乗りながら差し出す:胸の高さで、軽くお辞儀をしながら差し出します。
- 相手が受け取ったら手を離す:相手がしっかり持ったのを確認してから手を離します。
名乗り方の例
「〇〇株式会社 営業部の△△と申します。本日はお時間をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。」
名乗るときは、名刺に書かれている会社名・部署名・氏名をはっきりと。早口にならないよう、相手の目を見て伝えましょう。
4. 名刺を渡す高さ

名刺は胸の高さで差し出すのが基本ですが、相手が目上の場合は相手の名刺よりも少し低い位置から差し出すと、へりくだった気持ちが伝わります。
ただし、あまりに低くしすぎると相手が受け取りにくくなります。「相手の手より少し下」を意識する程度で十分です。また、相手が新人の方などで差し出すのに時間がかかっている場合は、急かさずに待ち、相手が差し出してから自分も渡すとスマートです。
5. 名刺の受け取り方

- 「頂戴いたします」とひと言添える:相手が名乗り終わってから、軽くお辞儀をして受け取ります。
- 両手で受け取る:片手で受け取ってしまった場合も、すぐにもう一方の手を添えましょう。
- 余白の部分を持つ:会社のロゴや名前の上に指をかけないように持つのがマナーです。名刺は「相手の顔」と考えて丁寧に扱います。
- 胸の高さで持ち、名前を確認する:受け取った名刺はすぐにしまわず、胸の高さで持って内容を確認します。
読み方がわからないときは
「恐れ入りますが、何とお読みすればよろしいでしょうか」とその場で確認して大丈夫です。間違えた読み方のまま話を続けるほうが失礼になります。珍しいお名前なら「素敵なお名前ですね」と会話のきっかけにもなります。
6. 同時に交換するとき

お互いが同時に名刺を差し出した場合は、片手ずつ使って交換します。
- 右手で自分の名刺を持ち、左手で名刺入れを持つ
- 右手で自分の名刺を相手の名刺入れの上に置くように渡し、同時に左手の名刺入れで相手の名刺を受ける
- 受け取ったらすぐに右手を添えて、両手で持つ:「頂戴いたします」とひと言添えましょう。
同時交換は慣れないとぎこちなくなりがちです。名刺入れを「お盆」のように使うイメージを持つと、スムーズに受け渡しができます。
7. 複数人と交換するとき

複数人どうしで名刺交換をするときは、役職の高い人どうしから順に交換します。上司と一緒に訪問した場合の例は次のとおりです。
- 自分の上司 ⇔ 相手の部長(役職の高い人どうし)
- 自分の上司 ⇔ 相手の担当者
- 自分 ⇔ 相手の部長
- 自分 ⇔ 相手の担当者
上司が交換している間は、自分は一歩下がって待ちます。上司より先に相手の役職者と交換し始めてしまわないよう注意しましょう。人数が多い場合は、隣の人へ順番に移動しながら交換していくとスムーズです。
8. 受け取った名刺の置き方・しまい方

打ち合わせや商談の席では、受け取った名刺はすぐにしまわず、テーブルの上に置いておきます。
- 相手が1人のとき:自分の名刺入れの上に置きます。
- 相手が複数のとき:相手の座っている順に並べます。いちばん役職の高い人の名刺を名刺入れの上に置き、そのほかの名刺はテーブルの上に並べます。顔と名前を一致させやすく、会話の中で名前を呼び間違える心配もありません。
- しまうタイミング:打ち合わせが終わるまで置いておき、終わりのあいさつの前に名刺入れにしまいます。相手より先にしまうと「もう用は済んだ」という印象を与えることがあるので注意しましょう。
テーブルに置いた名刺の上に資料やカップを置いたり、飲み物をこぼしたりしないよう、置く場所にも気を配りましょう。
9. こんなときどうする?場面別の対応
名刺を切らしてしまったとき
「申し訳ございません。あいにく名刺を切らしておりまして」とお詫びし、口頭で会社名と名前を名乗ります。後日、お礼の連絡とあわせて名刺を郵送するか、次に会ったときに「先日は失礼いたしました」と添えて渡しましょう。「忘れました」と言うより「切らしております」のほうが丁寧な印象になります。
座っている状態で名刺交換が始まったとき
面談の途中で人が加わった場合なども、名刺交換をするときは必ず立ち上がります。相手が座ったままでも、自分は立って渡すのがマナーです。
テーブルをはさんでいるとき
基本はテーブルの横に回り込んで交換します。部屋が狭くて回り込めない場合は、「テーブル越しに失礼いたします」とひと言断ってから交換しましょう。
立食パーティーや交流会のとき
グラスや皿を手に持ったまま交換するのは避け、いったんテーブルに置いてから両手で交換します。受け取った名刺は、その場で名刺入れにしまってかまいません。
相手の名前を忘れてしまったとき
打ち合わせ中であれば、テーブルの上の名刺を確認できます。だからこそ、受け取った名刺は座席順に並べておくことが大切です。
10. やってはいけないNGマナー

| NGな行動 | どうすればいい? |
|---|---|
| 座ったまま名刺を渡す・受け取る | 必ず立ち上がって交換する |
| 受け取った名刺をポケットや財布にしまう | 名刺入れにしまう |
| 相手の前で名刺にメモを書き込む | メモは手帳や別紙に取り、あとで整理する |
| 名刺をテーブルの上で指でいじる | 名刺は置いたまま触らない |
| 名刺を置き忘れて帰る | 打ち合わせの終わりに必ず名刺入れにしまう |
| 名刺を片手で渡す・受け取る | 両手で渡し、両手で受け取る |
| 汚れた・折れた名刺を渡す | 名刺入れで保管し、状態の良いものを渡す |
特に「置き忘れ」は、相手に強い不快感を与えてしまう失敗です。帰り際に名刺入れの中を確認する習慣をつけておきましょう。
11. 名刺交換のあとにすること
- その日のうちにお礼の連絡を:名刺に書かれたメールアドレスに、面談のお礼を送ると印象に残ります。
- 会った日・場所・話した内容をメモする:相手の前では書き込まず、別れたあとに名刺の裏や名刺管理アプリにメモしておくと、次に会ったときの会話に役立ちます。
- 名刺を整理して保管する:名刺ファイルやスキャンアプリなどで、すぐに見返せるようにしておきましょう。
- 自分の名刺の残り枚数を確認する:少なくなっていたら早めに補充しておきます(目安は名刺の作り直しのタイミングと枚数の目安をご覧ください)。
マナーと同じくらい大切な「名刺そのもの」
どれだけ丁寧に名刺交換をしても、渡した名刺の文字が小さくて読めなかったり、情報が古かったりしては台無しです。名刺は、交換したあとも相手の手元に残り続ける「自分の分身」。読みやすく、内容が最新の名刺を用意しておくことも、立派なマナーのひとつです。
名刺に載せる項目は名刺の書き方、肩書きの書き方は名刺の肩書き・役職の書き方、交換の基本の流れをさっと確認したい方は名刺交換のマナー|基本の流れと場面別のポイントもあわせてご覧ください。
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よくある質問
Q. 名刺は目上と目下、どちらから先に渡しますか?
目下の人から先に渡すのが基本です。取引先を訪問した場合は訪問した側から、役職に差がある場合は役職が下の人から渡します。相手が先に差し出してきた場合は、まず受け取ってから「申し遅れました」と添えて自分の名刺を渡しましょう。
Q. 名刺はどの高さで渡せばいいですか?
胸の高さで差し出すのが基本です。相手が目上の場合は、相手の名刺よりも少し低い位置から差し出すと丁寧です。
Q. 受け取った名刺はいつしまえばいいですか?
打ち合わせ中はテーブルの上(名刺入れの上や座席順)に置いておき、打ち合わせが終わってから名刺入れにしまいます。相手より先にしまわないよう注意しましょう。
Q. 名刺を同時に出してしまったときはどうすればいいですか?
右手で自分の名刺を相手の名刺入れの上に置くように渡し、左手の名刺入れで相手の名刺を受け取ります。受け取ったらすぐに右手を添えて両手で持ちましょう。
Q. 名刺を切らしてしまったときはどうすればいいですか?
「あいにく名刺を切らしておりまして」とお詫びし、口頭で名乗ります。後日、お礼の連絡とあわせて郵送するか、次に会ったときに渡しましょう。



